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部屋に皿に盛られた焼いた鹿肉がやってきた。量はそう多くないが、まあ贅沢は言えない。
「うん、いい匂いではないか」
この時になってようやく円城寺殿が目を覚ました。
「シカの肉。今日の晩飯です」
「おお、そうかそうか。それはうまそうだ」
「ではいただきましょう」
手を合わせて、鹿肉を手に取るとかぶりついた。少し血生臭いがあっさりとしていて食べやすい。近頃食べられるようになった牛の肉よりもおいしいと感じる。
「おお、こりゃあうまいな」
さっきまで寝ていたというのにすっかり目が覚めたのかすごい勢いで肉を食らっている。
「それで、ナリゲシの花の情報は手に入ったのかな?」
「ええ、どこに咲くかはわかったのであとは足で探します」
「そうか。それは頑張ることだ。では明日にはここを発つのか」
「ええ、そのつもりです」
「そうか。まあ頑張るのだぞ」
「はい」
食事を済ませるとすぐに眠りについた。明日からは足を使う。今日のうちによくよく休めておかないと役に立たなくなってしまう。明日は早朝に発とう。そう決めた。
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