野宿

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 毛布を取り出して地面に敷くとその上に大量の枯れ葉をかぶせている。案外とこれをするだけでも暖かくなるものだ。問題は動くと枯れ葉が落ちていくことだが、寝てしまえばあまり問題にはならない。  焚火の火を消して毛布に潜り込んだ。風で簡単に吹き飛ばされてしまうような枯れ葉だが量を重ねると結構重くなる。寝返りなどうてないくらいにはずっしりとしている。  寝転んで分かったことだがこの場所は柔らかい。固くないのでまだ寝やすいか。しかし、あまり疲れはとれないように感じた。これもまた、野宿である以上仕方のないことだ。  早々に眠りについた俺は夢を見た。何かうすぼんやりとしていてはっきりと何を見ているのかはわからなかったが、懐かしい匂いと感触を感じた。そうだ、あれは確か父が持って帰ってきた器だ。不思議な感触でよく覚えている。  父はその器を手に入れたことを誇りのように語って聞かせてくれた。だが、器を触ったのも見たのもその日限りだった。幻のようにも感じるが、あれは確かに存在していた。  俺はあれを、もう一度この手にするのだ。  目を覚ますと空は明るくなっていた。枯れ葉を落として起き上がった。昨日の朝よりは暖かいようだ。  無事に夜を明かした俺は荷物をまとめて今日もまた岩山に登る。   (懐かしい夢だった)  まあ、今は考えないようにしよう。今は成芥子を見つけるのが先決だ。 「さて、今日は別の岩山に登るとしようか」  かまどを崩して、炭は土の中に埋めて処理した。  そうして、俺はまた岩山に向かった。
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