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自分で切り出したというのに、聞き返されてピクリと肩を揺らす私。
パッと顔を上げて昴くんを見ると、唇に緩く弧を描いて涼しげな視線を向けていて…
うう、…昴くん、…絶対私が言いたいこと分かってるはずなのに…。
わざと口に出して言わせようとするあたりが、意地悪な人だと思う。
でも、こちらからお願いする以上、察してもらおうだなんで考え甘いよね。ちゃんと、しっかりお願いしないと…。
ゴクリと喉を鳴らして、意を決して口を開く。
「あ、あの、…もうすぐ、
べ、べべ、ベッドシーン…が、あるでしょ?」
「うん。…ふふ、」
ああ、もう…ほら…っ、昴くん、私が言うこと分かってて笑ってるじゃん。
うう、恥ずかしい…っ、でも、知ったかぶりしたまま撮影に臨むなんて…絶対失敗するに決まってるもん…。
「私、実は…、し、ししし、シタコト、ナクテ…、」
「…ふ、…何を?…ベッドシーンを?」
「え…っ?!
えっと、…あの、え、…………えっち、を。」
「…っくく、…へぇ、そうだったんだ?」
もおおおお、底意地が悪いです……!
キスもしたことないの知ってるんだから、分かってるでしょうが…!
恥ずかしくて、悔しくて、頬を膨らませながら「もう…っ!真剣に悩んでるの!」と怒って昴くんの肩をポコッと叩くと、
「ははっ、ごめんごめん、真っ赤な美波が可愛くてつい?」と笑う昴くん。
「…もう。」と不貞腐れながらも、話を戻す。
「あの、それで…最中の…声、とか。反応…?とか。…私全然分からなくて…。」
「…」
「ど、どうやって…勉強を…すればいいのかな…と。」
「…」
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