Seen4 危険な鑑賞会

13/36
前へ
/548ページ
次へ
「お邪魔します…」 「いらっしゃーい。」 もう若干慣れ始めた昴くんの部屋。 初めて来たとき随所に女性用品が見られた彼の家だが、次来たときには洗面台に私のために取っておいてくれた歯ブラシが一本だけ。 それ以外は本当に撤去されていた。 「みー、着替える?」 「え、…あ、いいの?」 「ん、俺得だから、是非。」 ニンマリ笑いながら男物のスウェットを手渡してくれる昴くん。 「な、なんか、…顔がエッチなのですが…。」 「ふっ、今からエッチの勉強するからねぇ?」 「な、なるほど…。き、キスもしますか?」 「俺が美波をここに呼んでしなかったことある?」 「は、は、歯磨きしていい?」 「ふふ、勝手にしていいよ。申告すんなよ、可愛いから」 頭をくしゃくしゃっと雑に撫でた昴くんは笑って先にリビングへ向かう。 ソファーに腰を下ろしてくつろぎ始めた昴くんに「あの…!」と声をかけると顔だけをこちらに向けられる。 なかなか続く言葉が出なくて「えっと、あの…」と困った顔で繰り返していると、「どうしたの?」と昴くんが促してくれてようやく意を決して用件を伝えることができた。 「お、お風呂…借りちゃダメですか?」 「…ん?お風呂?」 予想外の言葉だったらしく、目を丸くする昴くん。 「あ、あの…今日外撮影だったから汗かいちゃって…でも、家でシャワー浴びる暇なかったから…。」 モジモジしながら言い訳をする私は、実は用意周到にスキンケアグッズやら下着やらを持ち込んでいたりする…。 だ、だって…今日本当に時間なかったし、でもキスするとき近づくのに臭いとか思われたくないんだもん…!
/548ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1145人が本棚に入れています
本棚に追加