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現場で今日のことを頼んだとき、昴くんは「それって俺のこと誘ってる?」と聞いた。
その直後は何のことか分からなかったけれど、木嶋さんが運転する帰りの車の中でふとその意味に気がついた。
その瞬間、ボンっと顔から火を吹くほど恥ずかしくて、
…でも、不思議と全然嫌ではなくて。
…むしろ、昴くんが私をそういう対象として見てくれていることが嬉しかった。
行為のことを何一つ知らない私だけれど…昴くんになら何をされても嫌ではないだろうな…って謎の安心感があったのだから…不思議だ。
鏡に映る自分の顔が火照ってる。
化粧を落とすと随分と幼くなってしまう自分の顔を見て、…昴くんが今まで遊んできた女の人と比べてきっと私って色気ないんだろうなぁ…と小さくため息をついた。
きっとこの家で…他の人とそういう行為をしたこと…あるよね。女性用品沢山あったのはそういうことだよね。
この類のことを考えると瞬時にモヤっと胸を覆うこの黒い感情がヤキモチだと教えてもらったのはこの部屋に初めてきたあの日のこと。
あれ以来、度々私の心を覆うそれは、最早当たり前のものになりつつあった。
他の人とはしたのに…私とは出来ない…とかなったら、…それはそれでなんか嫌だな。
…なんて。変な負けず嫌いは元々の性格から来るものか…それとも昴くんへの他の人とは違う特別な何かからくるものか…。
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