Seen4 危険な鑑賞会

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「じゃ、俺も風呂入ってくるけど、その間美波は勉強タイムね。」 「…え?」 私の背後からソファーの下に移動した昴くんは、地べたにあぐらをかいてテーブルの上に手を伸ばす。 いつのまにかそこに置かれていたノートパソコン。 デスクトップからブラウザのアイコンをクリックする彼を後ろからただ見守る。 「美波、AV持ってないって言ってたけど、今時はネットで普通に見れるよ。」 「え?そうなの?さすが昴くん物知り…」 「いや、だからこういうので流石とか言われても困んのよ。」 苦笑いしながら『アダルトビデオ』と打ち込んだ昴くんは検索結果の一番上に表示されたサイトをクリックした。 その直後、女の人のおっぱいが表示されて「わっ、」と思わず両手で目を塞ぐ。 「へ、へ、へ…これ、も、モザイクとか…え、」 「昔はテレビでも胸さらけ出してたんだよ?流石に胸にモザイクはかけないでしょ。」 「な、え、…これ、AV始まってる?」 「なわけ。ただの出会い系の広告だよ。」 呆れた顔でこちらを振り返る昴くんは、「ほら、こっちおいで」とそばにあったクッションを手繰り寄せながら手招きをして、私をクッションの上に座らせる。 「何かお好みはありますか?」 「こ、こ、好み…って?」 「ほら、色々ジャンルあるんだよ。設定とかも。」 「…わ、わかんない…初心者向きなのを…」 「ふふ、ねえ、そんなんでほんとに大丈夫?」 「…」 カルチャーショックに固まる私の頭を撫でながら、右手でマウスを操る昴くんは、コロコロとカーソルを動かして、タイトルに『カップル』という言葉の入ったものをチョイスしてくれた。
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