Seen4 危険な鑑賞会

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不安だけど、恥ずかしいけど、 大好きな人が自分を求めてくれるって…堪らなく嬉しくて…。 この人ならいいかも…って。 えっちって…そんな信頼関係が試される素敵な行為なのかも、なんて。 絆された私は一度俯いて、グッと唇を噛んでから意を決して口を開く。 「…、や、やります。」 勇気を出してそう言った。 赤い顔で涙を浮かべてなんとか言った。言ってやった。 …それなのに、だ。 「ふふ、嘘。やんねーよ、バーカ。」 「……っ?!!!!」 ズボッとスウェットから手を引っこ抜いて、満足したように笑った昴くんに私は目玉が飛び出るのでは?と言うほどに目を見開いた。 「な、なんでですか?!!」 「まだ不安残ってる美波としても面白くなーい。」 「…っ、それなら最初からそう言ってくれれば…」 「だって、美波ちゃんいじめるの楽しいからさぁ。」 「ひ、ひどいです!」 ううう、と眉間に皺を寄せて昴くんを睨むと「何?威嚇してんの?かあいいねぇ?」と馬鹿にしながら私の頭を撫でるから全然溜飲が降りてくれない。 でも、一定のリズムを刻みながら、私の頭を撫で続ける昴くんが、不貞腐れ顔の私をあまりにも優しい表情で見つめるから…。 「…次は…心の準備、もっとしてきます。」 「ん、そうして?今結構必死に我慢してんだから。」 実は、ホッとしてしまっていること。 昴くんに隠せるはずもないよね。
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