1146人が本棚に入れています
本棚に追加
美波を女優としての成長させてあげたいという気持ちに嘘はない。それは確か。
でも、…それだけじゃない。
愛田美波、という人間に…俺は興味を持ってしまった。
こんなにも、女の子の戸惑う姿が見たいと思ったことがあっただろうか。
“昴くん”と照れながら呼ばれて、こんなに嬉しかったことはあっただろうか。
敬語にタメ語の混じるたびに胸をくすぐられて、膝上丈のスカートから覗く綺麗な足にムラッとしてるくせになんでもないふりをして。
いつの間にか、あっという間に。まんまと美波にハマっていた。
俺さ、彼女でもない女の勝手な嫉妬とか本当大嫌いだったんだよ。
セフレは常に2、3人。あんまり増やしすぎると収集つかないから、ちゃんと割り切った関係でいられる子としか関係は持たない。
彼女ヅラする人はすぐに切ったし、仕事に影響出さないためにも共演者には手は出さない。
…そんな俺の中のクズすぎる決まりを美波は簡単に吹き飛ばす。
「やだ、私…着るなら知らない人の服より昴くんのがいい。」
「…」
なんの気なく、渡したレディース用のスウェット。
長年の女遊びのせいで感覚が麻痺していた俺に対して、不貞腐れたように吐き出されたそんな言葉。
普通…うざいじゃん。彼女でもないし、ましてやセフレですらない、今のところただの共演者じゃん。
…それなのに、心臓がきゅうううっと縮み上がった。ビビるくらい。
でも仕方ない。だって…
「俺の服でいいの?」
「昴くんのがいい。」
ピンク色の唇を尖らせて、眉尻を下げて。
相変わらずキラキラと輝く淡褐色の瞳が拗ねたようにこちらを見上げているのだ。
うわ……、何この可愛い生き物。
今すぐ押し倒して、何から何まで躾けたいんだけど。
最初のコメントを投稿しよう!