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美波が洗面所で着替えている間に今日約束をしていたセフレの一人から電話がかかってきた。
チッ、美波と会う前に今日は会わないって連絡したのに。
鳴り止まない電話に渋々通話ボタンを押すと、「ねえ、友達いてもいいから遊び行っていい?えっちしよ?」って。
純粋な美波を見ていたら、自分も電話先の彼女もすごく不潔な人間に思える。
しつこい電話先の女に「…だから、今日は会えないって夕方連絡したじゃん。」と冷たく言い放つ。
「なんでー?私朝から楽しみにしてたんだよぉ?」金切声で騒ぐ女に辟易しながら、ふとリビングの入り口の方を振り返れば、ぶかぶかのスウェット姿の美波の姿が。
うわー、お手本のような可愛さ。
下もしっかり履いてくるあたりが美波らしくてほっこりする。
手早く電話を切って、美波に近寄ったがどこか様子がおかしい。
さっきレディースのスウェットを渡した時と同じ顔。でもあの時よりも悲しみが滲んでいる。
「あの…帰った方がよければ、全然帰るので…、今からでもその方と会ったほうが…なんて、…。」
無理やり作った笑顔で発した言葉の語尾は僅かに震えた。
同時に下がった視線。落ち込んだように噛まれた唇に…情けないけど本気で焦った。
本当に帰ったらどうしよう、って焦る内心を隠すように明るい声を出して彼女の腕を引いた俺はソファーに連行して無理やり太ももの上に乗せた。
わざとからかうように声かけて苛めるのも、ここに美波を引き止めるため。
…でも、抱きしめるだけでこちらに伝わるほどの爆音で心臓を鳴らす美波が本当に可愛くて、泣きそうな顔で恥ずかしがる美波の反応がいちいちツボで。
あっという間に目的は変わって、ただ可愛い美波を見たいがために甘い声で彼女を誘惑する。
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