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自分から女の子にご飯行こうなんて言ったことないけど、美波との次の予定が欲しすぎて、飯食い終わったらすぐに誘った。
ニコニコしながら「嬉しいです!」と言ってくれた美波に心臓撃ち抜かれて、堪らずキスを迫れば、「だっ、だだだだ、ダメですっ!!」と全力拒否されて。
内心をすげー落ち込んだのに、その理由が「歯磨きがしたい!」だったのはすげー笑ったし、ほっとした。
俺とキスするために小さな口をモゴモゴさせながら歯磨きをする美波が小動物っぽくて可愛すぎる。
とか言いながら、俺自身もいつもより丁寧に磨いてるんだからなんかウケる。
俺、どんだけ美波とプライベートチューしたいの。
ダサすぎるんだけど。
柄にもなく、一人の女の子相手に心乱されまくりな俺をよそに、
「そうやってすぐに“可愛い”とか言うから…沢山の女の人が昴くんのこと好きになっちゃうんでしょうね。」
なんて、いきなりヒヤッとするようなことをいう美波。
いや、さっきまで顔赤くして可愛く照れてたくせに、次の瞬間なんでそんな悲しげな顔してんのよ?
彼女の感情の変化にいちいち気が気じゃない俺は、その視線の先に気がついて。
俺の家に女の物があるのが嫌なのか?と尋ねれば、いじけたように自分には関係ないと呟く。
そっけないセリフを少し残念に思いながら、うがいをするため水を口に含めば、
「でも、ちょっとショックだった。」
「…っ、」
「昴くん…この家に色んな女の人泊まらせてるんだ、って思ったら…なんでかモヤモヤする…。」
「…」
「関係ないのに感じ悪いこと言ってごめんなさい…。」
蚊の鳴くような声で俺に伝える美波。
泣きそうな顔で眉を下げて、まだ泡のついた下唇を噛む姿に胸が痛む。
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