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まだ慣れない深いキスをしてやると体の力が抜けたようで、俺にもたれかかってくる美波。
苦しそうに、でも必死に俺に言われたとおり小さな舌を出す頑張り屋な美波だから、今までにしてきたどんなキスよりも、俺はこのぎこちないキスが好き。
この後の行為を覚悟してか、終始強張った表情の美波を気遣いながら、そっと服の裾から手を差し込んで。
一つ一つの俺の挙動を機敏に感じ取り、怯えたように体を震わせる美波にその都度声をかけながら美波の心をほぐすことに注力する。
美波には嫌な思いさせたくない。無理矢理だけは絶対に嫌だし。でも、やっぱり可愛いこの子に触りたいし。
「美波、大好きだよ。」
「…っ、」
「美波に触れられて、嬉しい。」
「…」
自分でも驚くほど、口からスッと言葉が出た。
行為の前にこんなことを言うのなんて、今まであったか?
俺の中ではそれほど珍しいことだったんだけど、もしこの言葉がヤりたいが為の口説き文句のように聞こえていたらどうしよう…って、すぐさま胸が不安に覆われた。
でも美波は、
「…昴くん、もう…大丈夫。」
「本当…」
「触って?…気持ちよく…なってみたい、私も。」
「……、すげー殺し文句。」
必死に我慢してる俺に対して、そんなセリフ…タチが悪すぎる。
可愛くて、一生懸命で…そんな彼女は天然だから、そんなふうに言ったら男はみんな勘違いするよ?
美波は純粋に演技のために頑張ってるのにね。
四つも年下の女の子の純粋な気持ち踏み躙ってるみたいで心苦しいけど…ごめん、俺は俺のために美波に触れてる。
彼女の肌をなぞるように唇を動かして首筋に顔を埋めれば、「ん、」と甘い声を漏らしてピクンと体を揺らす。
なんだ、上手に反応できるじゃん。
…なんて、分かってたよ。だってキスの時トロトロに蕩けた顔すんだもん。
もっと気持ちいいこと覚えたら、この子どうなるんだろう…ってずっと思ってたよ。
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