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「昴くん…、私としたくないわけじゃない?」
「逆に美波が俺としたくないんでしょ?」
「違うもん。昴くんとじゃなきゃできないもん。」
「…ああ、可愛いこと言うなぁ、もう。させてくれない癖に生意気だぞ、ポメ!」
「…ポ、ポメじゃない!犬扱いしないで!」
結局最後まではしなかったその日。
こんなことまでしても変わらず俺を慕ってくれる美波が嬉しかった。
そして…
「昴くん、また色々教えてね。もっと愛菜に近づきたい。」
「…ん。美波なら…出来るよ。」
ただ純粋に、俺から演技のための“恋愛”を教えてもらおうとしている彼女に胸が痛んだ。
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「なあ、昴」
「何、」
「さっきから誰とLINEしてんの?」
俺は、半年前に公開され、ロングヒットを飛ばしている出演映画に関する雑誌インタビューを受けるため、とある撮影スタジオの控室にいた。
取材までの待ち時間。
机に立て肘をついて相変わらず綺麗な顔立ちに似合わない気怠げな声で話しかけてくるのはアイドルグループLUSHの長谷川要。
今回取材対象になっている映画に俺と共にダブル主演した彼もこれから一緒にインタビューを受けることになっている。
要と初めて会ったのは高校生の時。芸能コースのある高校の同級生だった。
ちょっと変わったやつだけど、昔からアイドルとしてのプロ意識は凄まじく、面と向かっては絶対言わないけど普通に尊敬してる。
自分もスマホを眺めつつ、さほど興味もなさそうに「お前がずっとスマホ触ってんの珍しいから。」と口角を上げる要にちらりと視線を送り、俺も再びスマホに目を戻した。
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