Seen5 可愛いあの子

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瞳キラキラ。胸の前に両拳を構えて一生懸命。 好きだな、好きだな。すごく好き。 ここが現場でなけりゃ、キスして押し倒すのにね。 その顔はどうせ演技を勉強したいからなんでしょ? 真面目で真っ直ぐなところが魅力だけど、今となってはちょっと切ないな。 「今日は最後まで教えてあげよっか。」 「…っへ?!」 こっちの下心にも気がつかず、無邪気な彼女に意地悪心でそう言うとまんまと狼狽えてくれる。 でもさ…? 「お、お願い…します、がんばり…ます。」 「…」 周りに聞こえないように小さな声で言いながらペコリと頭を下げる彼女に… 結局、俺の方が翻弄されてしまうんだ。 ああ、見事に釣られました。 好きです。大好きです。 本日、久城昴、この子抱きます。 ……、なーんて。 ……冗談、うん冗談だから、マジで。 焦らない、焦らない。 「…じゃ、夜を楽しみに撮影頑張ろっかな。」 「はい!」 可愛いこの笑顔を手放すのが怖いと思ったのなんて初めて。一生見ていたいと思ったのも初めて。 自覚したらあっという間。 気づかない間に穴にハマって、気がついたらさらに坂を転げ落ちて今度はノンストップで落ちていく。 ね、いつかは俺のこと好きになる? 演技とかじゃなく、“俺を”ね? そのゴールがあるなら、頑張ってみよっかな。 美波が満面の笑みで「昴くん、好き」って言ってくれたら、そんなん絶対可愛いじゃん。 美波も早く俺にハマってよ。 それで、一緒に坂転げ落ちよ? 可愛いあの子 ーendー
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