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飲み物を頼んでしばらくしてから食前酒と共に運ばれてきたアミューズ。
見た目にも美しいそれは、味も絶品で。
「美味しいねぇ〜、昴くん〜!」
「ふふ、みーちゃんほっぺ支えなきゃ落ちるよ?」
「んぅ〜本当に落ちるかも、支えとくね。」
「マジで支えるのね。ははっ、可愛いかよ。」
左手で頬を支えて、あまりの美味さに身体を震わす私を見てクスクス笑う昴くん。
また子ども扱いされている気がするけどね、なんかこれもいいかなぁ、って。
女性として見られていないのかも…って悲しい気持ちは確かにあるんだけど…。
決して大人っぽいわけではない素の私を見て、昴くんが楽しそうに笑ってくれるのも、優しい声色で揶揄うように声をかけてくれるのも…、
私のこと可愛がってくれている感じがして、ホワホワ嬉しい気持ちになるんだもん。
昴くんはよく私のことを“ポメラニアン”っぽいって言うけど…ペットの犬ってこんな気持ちなのかなぁ?
そうだとしたら、犬も悪くないのかもなぁ。
…というか、むしろ犬の方が………、
…なんて、馬鹿なことを考えるくらい。
どうやら私は昴くんに甘えるのが好きらしい。
今まで、映画やドラマ、漫画なんかで勉強した恋愛は摩訶不思議なことだらけだった。
好きな人に対して素直になれなかったり、妙に格好をつけてしまったり、相手によく見られようと努力したり…。
今までの私にとっての【努力】というものは、前向きなものばかりではなかった気がする。
特に女優業やその他の私生活に関する努力は、
『周りに迷惑をかけたくない』
そのために、必要最低限の力を身につけようとして取り組んだ【努力】がほとんどだった。
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