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クローゼットの中から、悩みつつ引っ張り出してきたのは清楚で女の子らしいデザインの白いワンピース。
昴くんからすれば“ただの共演者との食事会”なのに、頭の中で膨らませて膨らませて、“デート”に格上げさせた私が、勝負服として選んだ洋服だ。
気合い入れすぎた?なんて不安になっていたけれど、昴くんに褒めてもらえただけで、不安は一瞬で吹き飛んで、高ぶる感情は天まで登っていってしまいそう。
今までドラマや漫画で目にするたび、「面倒くさそう」としか思っていなかった、ひとつひとつのことが現実として自分の身に起こって…
なーんだ、
恋愛ってこんなに楽しいんじゃん。って…
初めて知ることが出来た。
…ねえ、愛菜。愛菜もこんな気持ちなのかな?
初めての気持ちにワクワクドキドキ、でもちょっとだけ不安で…
相手の反応一つ一つに落ち込んで、喜んで…、全然靡いてくれないとムカついて八つ当たりしちゃったりね?
分かる、分かるよ、愛菜の気持ちが痛いほど。
あのとき、全然理解できずに闇雲に追い求めたあなたが私と昴くんを繋いでくれたおかげで、今やあなたが私の一番の共感者になってくれている。
全然相手にしてくれない拓人に対して、生まれて初めて“好きになってもらうための努力”をする愛菜。
プライドを捨てきれないから、不器用で下手くそな愛情表現なんだけど、それを必死に紡いで頑張る愛菜は、理解すればするほど可愛い“恋する乙女”だった。
私はただ“昴くんが好き”っていうだけで、愛菜みたいに付き合うために計算高く動こうと思っているわけではないけれど、
もっと深く昴くんを好きになることで、もっと愛菜のことを理解できたら、って思うんだ。
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