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本当は私如きがこの映画に意見を出すなんて烏滸がましいと思って口を噤みそうになったけれど…
そこで背中を押してくれたのはいつも昴くんだった。
昴くんが見せてくれた、
女優としての世界、愛菜としての世界。
その世界に飛び込むことができた今…
逃げずに私もこの映画にとっての一人の戦士になりたいと思ったんだ。
ただ、指示通りに動く人形じゃなく、仲間と共に戦う戦士に。
「DAISYはね、女の子が恋をしたときに着たくなる服なの。
プライド高くて、言葉は素直じゃない愛菜だけど、そういうところでも拓人に恋をし始めたことを表現できたらなぁ、って台本読みながら思ったんだ。」
「ふーん、それで美波ちゃんは今日その服着てきてくれたのかな?」
「…っ、え?!!」
想定していなかった角度から言葉を投げられて、すごく大袈裟に声をあげる私に昴くんは意地悪に口角を上げて。
「“恋したときに着たくなる服”…なんでしょ?」
「…え、…へ、いや、…あ、」
そんなつもりで言ったわけじゃなかった。
ただ、愛菜の服について監督に意見できたんだよ…って言いたくて。
でも、私が昴くんに恋をしたからDAISYの服を着てきたのは間違い無くて、図星で、でもバレたくなくて、バラす勇気はなくてぇぇぇ…?!!
脳内パニックの私は「え、あ、う、」と訳の分からない言葉を繰り返しながらブンブンと顔を横に振る。
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