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勝手に勘違いして失礼な態度を取ってしまったことが恥ずかしい。
かああと赤くなる顔を両手で覆って俯いたけれど、このままでは昴くんからの印象が悪くなるばかりだ…と恥を捨てて顔を上げる。
「あの…昴くん、ごめんなさい、」
「ん?どうしたの?」
「えっと、私…昴くんに恋をしたからこの服着てきたって思われたのかと思って…、だからすごく否定しちゃったの。強い言い方してごめんなさい。」
「…」
素直に弁解すると、正面で頬杖をつく彼の表情が固まった。
部屋の空気が冷めるような無表情に怒っているのかと思って、またドギマギと言葉を発する私は…
「わ、私…、全然そんなんじゃないからね?せっかく昴くんに恋愛について教えてもらってるのに…そんな、本当に好きになっちゃうとか…しないから!安心してね!」
「………」
口を開けば開くほど怪しい。
私って嘘とか、本当に向いていないんだな。ってつくづく思い知らされた。
…それって仮にも女優をしている人間としてどうなの?という感じだけれど。
昴くんにもこの嘘が伝わっていないかヒヤヒヤしながら彼の表情を窺い続けると、ゆっくりと綺麗な二重が瞬きをした瞬間、ふっと彼の表情に切なげな笑みが加わる。
「そんなに否定されると切ないな。」
「…え?」
「俺には美波を好きにさせるだけの魅力がないみたいで落ち込む。…もっと頑張らなきゃなぁ…」
「ち、違うよ?!そういうことじゃ…」
思いがけず落ち込む昴くんにまだ慌てた。
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