Seen6 これはレッスンじゃない

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尻すぼみになる声量と共にゆっくり目を伏せれば、「対面の席失敗だったね。すっごく頭撫でてあげたい顔してる。」と目を細められ、思わずドキッとして顔を上げる。 数秒そのまま見つめ合い、沈黙の個室に響くのは私のトクトクと不規則な鼓動だけ。 弧を描いていた彼の口元がゆっくりと割れるのが、すごくスローに見えた。 「ね、美波。明日休みなら…今日は遅くなっても大丈夫?」 「…え?……ぁ、はい、…私は…全然、」 「じゃ、この後もう一軒付き合ってくれる?」 「…っ、!」 そう提案してくれた瞬間、嬉しすぎて鳥肌がたつ。 え、いいの?まだ一緒にいていいの?いてくれるの? 頭の中にぶわーっと困惑と歓喜の言葉が入り乱れて… 「い、行きたい…!……です!」 胸の前に拳を握って興奮気味に答えると、「ふふ、尻尾振らないで?可愛いから」と口元に手を当ててクスクス笑われた。 あまりの嬉しさに、本当に尻尾が生えたのかと思って振り返ったけど、良かった、生えてなかったー! 「そりゃ生えてないよ、ふふっ、」 「え?口に出てた?」 「出てないよ〜でも俺には見える。美波の頭の横に吹き出し出てる。それが可愛くてみーちゃんの一人暮らし鑑賞したい気持ち。」 「え〜?じゃあ今度、うちに遊びに来てください!」 「は、行く。いつ?明日?」 「ふふふ!」 目を開いてポンポンと言葉を返す昴くんが面白くてケラケラ笑う。 冗談かもしれないけど、本当に私の家に来たがってくれているみたいで嬉しくて、しばらくニヤケが止まらなかった。
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