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この後すぐにお別れではないと思えば、俄然デザートが楽しみになる。
グラスの半分ほどになったカクテルを喉に流し込んで、デザートに備えていると、「美波、お酒強いの意外かも。」なんて言いながら、彼が飲んでいるのは私のものより遥かに度数の高いテキーラだ。
先ほど「ちょっと飲んでみる?」と言われてほんの少しいただいたけど、喉に触れた瞬間かああと体が熱くなって、思わずベーっと舌を出してしまった。
だから、実は割と酔っ払っているんですよ?こう見えても。
さっき昴くんは対面の席失敗だったって言ってたけど、そんなことない。
だって、隣に座ってたらお店ってこと忘れて、思い切り彼の広い肩にしなだれかかってしまいそうだ。
「私、こんなに飲んだの初めてですよ?」
「そうなの?」
「うん、楽しくて、おいしくて、いつもよりいっぱい飲んじゃった!」
にっこり笑ってまたグラスを煽る。
昴くんとまだ一緒にいれることになったからかなぁ、さっきより酔いが回ってきた気がする。
お行儀が悪いけど、テーブルについた両肘の上に顔を乗せて昴くんをじっと見つめる。
「どうしたの?」と首を傾げる昴くんにとろんとした瞳を向けて、ふふふ、とご機嫌に体を揺らした。
「ふふ、そんなに強いお酒飲んでもケロッとしてる昴くん格好いいな、と思って!」
「………まーた、そんな可愛いこと言って。」
「えへへ?今日は沢山昴くんのこと知れて嬉しいし、まだ一緒にいられるのも嬉しいし、私…幸せです!」
「…うーん、みーちゃん、しっかり酔えてるねぇ?」
昴くんが困ったように笑ったタイミングでコンコン、と個室の扉がノックされて、デザートが運ばれてきた。
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