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それからしばらくおしゃべりして、もう家に帰るらしい悠真さんたちを見送った私たち。
「すごくいい人たちですね、2人とも。」
「ん、悠真も大学時代はサッカーバカって感じだったのに、彼女大好きみたいで微笑ましかった。」
「ふふふ、お友達と話してる昴くんも新鮮でした。今日は色んな昴くん知れて、本当に嬉しい!」
「……結局美波の笑顔が一番微笑ましいねぇ?」
「え?」
「んーん、何でも?俺たちも帰ろっか。」
「うん!」
帰り支度をしながら「次行くところは決まってるんですか?」と昴くんに尋ねると、「んー」と歯切れの悪い返事をして、わずかに表情を曇らせる。
「それなんだけどさ、みーちゃんに相談。」
「?」
「引かないって約束してくれる?」
「引く…?」
私の前に立って不安げな様子の昴くんにコテンと首を傾けつつ、差し出された小指になんとなく自分の指を絡めていて…よく分からないままに約束してしまった。
一度小指を離してすぐに5本指全てを絡めてきた昴くんは、少しだけ甘い声色で「実は…」と話を切り出す。
「…ホテル、予約してる。」
「…へ?」
予想していなかった妖艶な雰囲気を纏った言葉に…私の口から思わず飛び出たのは間抜けな声。
へ、ほ、ホテル…って、泊まる…とこですよね?
おうち帰るの面倒だから、昴くんはホテルに泊まるよ、ってこと?
って、いやいや、話の流れ的に…私も泊まっていいのか?
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