1147人が本棚に入れています
本棚に追加
ぽこぽこと次々に浮かぶ疑問にフリーズしていると、昴くんは拗ねたように唇を尖らせて「あ、ほら引いた〜」と非難の声を上げた。
「え?!ち、違うよ?引いてない!引いてないです!」
「いや、俺だってキモいなぁと思ったんだけど、正直俺、この店以外信用してないしさ?ホテルだったら時間気にしないでゆっくり話せるかなと思って。」
昴くんには珍しく少し恥ずかしそうに首の後ろを掻く姿に不意打ちでキュンとしてしまう。
そんなに私のこと考えてくれてたんだ、と思えばそれだけで嬉しくて…引くなんて…そんな、とんでもない…。
それに…もし、ホテルを予約してくれた理由がもっと欲に塗れたものでも…私はきっと…、
「…い、行きます。」
「…え?」
「わ、私も…昴くんと何も気にせずお話し…したいので、」
「…まじで?」
私の手を握る彼の手にグッと力が加わった。
きっと気のせいだけど、昴くんの瞳がキラッと輝いているように見えて…あ、喜んでくれているのかな?…って、さらに胸が高鳴った。
神崎さんのお店を出ると、事前に手配してもらったタクシーが店前に停まっていた。
手を繋いだままそれに乗り込むと、昴くんはホテル名を運転手に伝え、ゆっくりと車体が動き出す。
最初のコメントを投稿しよう!