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「…んっ、…っぅ」
「ねー、タクシーでのみー可愛すぎ。ダメでしょ外で誘惑しちゃ。」
「…昴くん、…ギュしたい」
「…もうしてる。」
ホテルの一室に入るなり、タガが外れたように激しいキスを交わし、強く強く抱き合った。
夜景が綺麗で明らかに高級そうな広い部屋だったけれど、そんなことに気を回す暇もないほど、目の前の人に引っ付いていたかった。
いつも昴くんの部屋では片時も離れずそばにいる。
それが今日はずっと対面の席で、タクシーではキスできる距離にいるのに出来なくて。
「…チュ、いっぱいしたいです。昴くん。」
「…っ、あーもう、まじで死ぬよ、俺?」
昴くんが私をひょいと抱き上げてキスをしながら部屋の奥へと進む。
雪崩れるように押し倒されたのはお姫様の眠るような広い広いベッドの上で。
「…するよ、いっぱい。キス以外も全部。」
「…っ、」
獲物でも見るみたいに鋭く、そして、愛犬でも見るように優しい瞳を下方から向けられて、そのあまりの美しさに息を呑む。
好き…格好いい、…好き、好き、…ああ、ねぇ、好きだよぉ…昴くん。
胸から込み上げるのはそれだけ。
うっかり口から飛び出そうなのを飲み込むのに必死だ。
口を開けばポロリと吐き出してしまいそうで…余計なことを言わないように何度も言い聞かせながら。
「…昴、く、…っ、」
「どーしたの?」
「チュがいい…」
「…、」
噛み締めた唇の隙間から自分でも情けなくなるほど甘ったれた声が出た。
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