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「好きだねぇ、俺からのちゅー」と笑いながら私の膝あたりに跨った昴くんは、後頭部に手を回し、先ほどよりも深く舌を差し込んでくれる。
好きだよ、だって…昴くん自身が大好きなんだもん。
昴くんのキスは暖かくて、苦しくて、でも腰砕けになるほどいつも気持ちがいい。
私だって昴くんに気持ちいいって思ってもらいたくて、彼を真似するように控えめに舌を回すと、「みーちゃん、キス上手くなっても他の男に披露しないでよ?」と頬を撫でられた。
チュッ…ピチュ…っ、と部屋に響く湿った音が卑猥で、どんどんと脳内を麻痺させていく。
いつからスイッチが入った?…酔っているから?
ううん、アルコールによる酔いなんてとっくに抜けている。
酔わされているとすれば、昴くんへの恋慕に、だ。
とっくにスイッチは入っていた。
ずっと、ご飯を食べている時から…ううん、ご飯に誘われた時…もっと言えば撮影前から…
彼を好きだと気がついたあの日から…私はこの人に触れたくて、触れられたくて仕方がない。
未知の行為への恐怖なんか軽く凌駕するくらい、自分でも訳わからないくらいただこの人と触れ合っていたい。
ベッドボードを背に昴くんから降ってくるキスの雨。
しばらくすると言葉を交わしたくなって、でもキスはやめたくなくて…。
そんなタイミング、まるで心が通じ合ったように、チュッと吸い上げながら彼の唇が離れた。
名残惜しそうなキスの終わりに、寂しいのにキュンとして、今離れたばかりなのに、またすぐに二人の間を埋めて欲しくなる。
「…ダメだ…本当…溢れそう。止まんない。」
「…、止めないで?」
「こら、可愛い顔しないの。」
「もう〜」と困ったように目を細めながら蕩けた瞳で見つめられたら、…自分がとてつもなく可愛い何かになったみたいな錯覚に陥っちゃうよ?
もう、昴くんはどこまで私を自意識過剰な女にすれば気が済むの?
自分の恋愛感情にもなかなか気がつけなかった私だから…何の信憑性もないけれど、
そんな顔されたら…昴くんも私に恋愛感情を持っているんじゃないか、って勘違いしちゃうよ?
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