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昴くんのシャツの首元を両手で握りながら、重力に任せてズルズルとベッドに沈ませる体。
下から昴くんを見上げて、鼻にかかった声で昴くんに尋ねる。
「昴くん、ここ泊まる?」
「ん。」
「私、帰らなくていい?」
「帰さない」
「っ、」
即答されて、触れるだけのキスをされたら、嬉しくてどうにかなりそうになった。
昴くんのお家に行った日は、日を跨ぐか跨がないかという時間に昴くんが自宅まで送り届けてくれるので、彼と一夜を共にしたことは今までに一度もない。
別れ際はいつも切なくて、寂しくて…だから今日はそれがないのだと思えば、体のうちから熱い何かが込み上げる。
「嬉しい…昴くんといっぱい一緒」
ニヤける頬を両手で支えて彼を見上げると、「…ふふっ、可愛い。みーちゃん。」と甘く甘く頭を撫でてくれる大きな手のひら。
「昴くん、…あのね、」
「ん…?どうしたの?」
「…えっと、………ううん、ずっと一緒、嬉しいな?」
「ふふ、今聞いた。それ。」
クスクス笑う昴くんを、眉を下げてじっと見つめた。
危ない危ない…。私今、…
「大好き」って言いそうになっちゃったよ。
ダメだなぁ、今日の私のお口…ゆるゆるだ。
私の髪の毛を梳かしながら、「いっぱい時間あるけどどうする?飲み直すか、それとも…」と分かっているように口角をあげる昴くん。
そんな彼に不満げに唇を尖らせて、ぼそっと呟いた。
「…意地悪、…“お勉強”したいです」
「…」
タクシーでの昴くんの言葉をなぞったセリフ。
聞いた瞬間一瞬固まった彼は、にこーっ表情を緩め、私の顔の横に両肘をついた。
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