1147人が本棚に入れています
本棚に追加
「何するの?」なんて、無邪気に聞くのは絶対わざと。
「やだ…何で言わせようとするの?」
かああと顔を赤くして目を逸らすと、「んんん」と唸った昴くんが私をぎゅっと抱きしめた。
「ふふ、だって酔っ払って素直なみー可愛いんだもん。」
「……酔ってないもん。」
「…酔ってないの?」
「ん、」
「それはそれで可愛すぎるじゃん。」
「…」
そう言って、そっぽを向いた私の頬にキスを落とす昴くんにキュンキュンが止まらない。
恋愛が分からない…なんてほざいていた私に教えてあげたい。
人はこんな簡単にドキッとするし、きゅんとするし、当たり前のように好きな人からの熱を求めてしまうんだよって。
顔を彼の方に戻せば、「可愛いね」と優しく笑ってくれて…それに私も「格好いいね?」って返して笑い合う。
「ね、美波…大丈夫?俺今日は止めないよ?」
「…ん、」
「よく考えて?美波の大事な初めて…俺で大丈夫?」
頭を撫でながら、少し不安そうに問われて、…なんて答えれば正解なのか迷って、少しの間声が出なかった。
どうしても目の前の人が欲しい。
その気持ちは…多分…演技とかそんなことはニの次で、ただただ触れたくて触れられたくて、体がたまらなく疼く。
でも、この気持ちを説明するわけにいかないから、今の私たちの関係では…この理由しか許されないから…
私の頭を撫でる昴くんの手を両手で握って、真っ直ぐに見上げた。
バレないように、昴くんが沢山教えてくれた演技の力をフル動員させて…。
「…昴くん、私を愛菜みたいに…えっちな子にしてください。」
私は本当の感情を隠した。
「………いいよ、じゃ、俺のこと拓人だと思って…愛菜になり切って?」
そう言った昴くんの瞳が少しだけ揺れた気がしたけど、
その時は、その時だけは…
愛おしい人と繋がれるなら…何でもいいと思ったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!