Seen6 これはレッスンじゃない

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…昴くんが抱いているのは愛菜だ。私じゃない。 私が言ったから。愛菜として抱いてほしいと言ったから。 それなのに、彼に『愛菜』と呼ばれるたびに心臓が締め付けられて泣きそうになるのはどうしてだろう。 目の前で私に覆い被さっている人は紛れもなく拓人なのに、どうしても昴くんの姿を追い求めるのはどうしてだろう。 嬌声を漏らすだけの私の口を彼の唇が覆う。 抵抗する間もなく舌が差し込まれ、唾液が絡み合うごとにドロドロとお互いの欲が溶けていく。 お腹の上を滑るように撫でながら、唯一の着衣となっているショーツに彼の大きな手が差し込まれて。 「…っぁ、ぅ」 『これ、…もう履いてる意味ある?』 「…ひゃ、ぅ、ん」 限界を超えて水分を含ませていたショーツを引っ張って、細いのに男らしく骨張った手が下の蜜に触れた。 「…っは、ぁ、…あぅ、」 『随分とウブな反応じゃん、愛菜。』 「…っ、ごめ、…なさっ、」 『何謝ってんの?愛菜らしくない。』 「…、ああ、ゃ、」 執拗に名前を呼ぶのはわざとなの? 指の中間ぐらいまでを探るように中に差し込まれて、異物感に思わず顔を顰めた瞬間すぐにその指は離れて、おしっこが出るところを押さえられる。 「…っ、ひゃあ、…あっ、待って…」 「…」 そこで円を描くように柔く触られると、今までの比ではない訳の分からない快感が体を巡って。 怖くなった私は慌てて体を起き上がらせて彼の腕にしがみついた。 「…はぁ、はっ、」 「…」 動きを止めてくれた昴くんがじっと私を見る。 その視線は愛菜に向けるものなのか、それとも私に向けられたものなのか分からなくて…、つい体が強張ってしまう。 …でも、 「…美波、大丈夫?怖かった?」 「…っ、」 心配そうに眉を下げて、私の頭を撫でてくれた瞬間、 ……私の中で何かが崩壊した。
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