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「…ふ、…うう、っ…ええぇ、っ、」
「っ?!!」
昴くんの優しい視線に張り詰めていた精神が崩壊した私の瞳から、一気に涙が溢れ出す。
それを見た昴くんは慌てたように大きく目を開き、一目散に枕の方までやってきて強く私を抱きしめる。
「みーちゃん、どうしたの?怖かった?」
「…ふっ、うう、うぅぇ、え」
「…ごめんごめん、泣かないで?どしたの?」
突然泣きじゃくる私を宥める昴くんは赤ちゃんをあやすようにとにかく優しく背中を叩いてくれて。
その温もりが愛おしくて、縋るように強く彼に抱きついた。
「やぁだ、…やっぱり、っひっく、…やだぁ〜」
「……うん、やだね。……嫌だったね。ごめんね?」
優しくも、少し切ない声で慰める昴くんはギュッと私を抱きしめる腕に力を入れるから、「んーん!」と言葉を忘れた赤子のように奇声をあげて彼の胸を押した。
「…やだ!昴くんがいい!」
「…は?」
「やっぱり…拓人と愛菜じゃなくて…
昴くんと美波じゃなきゃ……やだ!」
「………」
駄々をこねるように唇を尖らせて、盛大なわがままを言った。
冷静な頭なんて持ち合わせていなくて…とにかく、昴くんの目に、愛菜ではなく、
今から好きな人に貞操を捧げる愛田美波を見て欲しかったんだ。
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