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え、あ、…もしかしたら演者同士で挨拶…とか?
わあ、人見知り発揮しないようにしなきゃ〜!
最初はなんて言う?
「初めまして、愛田美波です。」?
いやいや、顔合わせ会で一応会ってるし、初めましてじゃないよねぇ?
…と、彼女がこちらに歩み寄るわずかな時間で慌ただしく頭の中を働かせた私だったのだが、そんな行為の甲斐もなく、如月さんはスッと私の横を通り過ぎて行った。
「久城さん!お久しぶりです。」
「どーも。」
「またご一緒できて嬉しいです!」
「去年の特別ドラマ以来?」
「え?!覚えててくれたんですか?嬉しいぃぃ〜!」
迷いなく昴くんに駆け寄り、キャッキャと可愛らしくはしゃぐ如月さんに点になる目。
周りにいたスタッフさんたちはパラパラと撮影準備に戻った結果、私はその場に一人取り残されてしまって。
未だに会話を続けている昴くんと如月さんの方に視線を向けて、会話に入ってもいいものか迷っていると、それに気がついた昴くんが「美波?どうしたの、こっちおいで?」と手招きをしてくれた。
ぱああぁ、とあからさまに表情を明るくして、犬の如く尻尾を振って近づくと、昴くんはふふっと柔らかく笑って「放っとくと、すぐはぐれるんだから。」と顔を覗き込んでくる。
案外近い距離にドキッとして思わず顔を赤くして身を引くと、眼前の彼の口角が微かに意地悪く上がった。
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