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「へえ、この短い撮影期間で随分仲良くなったんですね〜?」
私たちを大きな瞳でじっと見つめ、含みのある口ぶりでそう言った如月さんにピクッと肩を上げる。
昴くんと話していた時はにこやかだったのに、私が入った途端、表情を曇らせる彼女に、やっぱり会話に入らない方が良かったのかな?と、内心反省しつつ、意を決して一歩近づいた。
「あ、あの…愛田美波です。よろしくお願いします!」
「…よろしく。」
「この間まで放送されてた如月さんが出演されてるドラマ観てました!共演できて嬉しいです。」
「…」
何とか話を続けようとドラマの話題を出してみたものの、彼女からの反応は芳しいものではなく…。
漂う微妙な空気に耐えきれず、なんとなく昴くんの方を見上げて助けを求めたその瞬間…。
「ねえ、愛田さん!」
「…え?!は、はい!」
突如、ハッキリした声に呼ばれて、ビクッと体を揺らした私は、動悸の治らない胸を抑えながら如月さんの方に視線を向けた。
可愛いけれど、どこかツンとした雰囲気を持つ彼女の猫のような瞳に見つめられれば、女性特有の邪険さを感じて少し怖い。
白い顔に貼り付けるような笑み。赤く煌めく唇から、少し低めの声がこぼれた。
「最初に言っておくわね?」
「…はい?」
「私、あなたと仲良くする気はないの。」
「…っ、え…」
堂々と宣言された拒絶に、戸惑いを隠さずに目を開いた。
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