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それを面白くなさそうに横目で見た如月さんは、表情をころりと変えて「ね、久城さんもそう思いますよね?」と昴くんの方を見上げた。
「ま、そういうのは人それぞれの考え方あるから。」と大人な回答をした昴くんにまたつまらなさそうに「相変わらずクールなんですね?」と可愛らしく拗ねた様子を見せる彼女。
「美波は美波のやり方で頑張ればいいからね?」
「は、はい…!」
ぽんっと頭を撫でながら柔らかい笑みで見下ろされ、頬を綻ばせながら「ありがとう、昴くん。頑張るね?」と胸の中央にぎゅっと両腕を寄せた。
…ああ、今ここに昴くんと二人きりだったら…100%抱きついてたよ。
如月さんのプロ意識に少し圧倒されたし、自分の意識の低さに少し焦ってもいたから、彼の温かな優しさが胸にじんわりと染み込んでくる。
ピリッとしていた空気が、昴くんの力であっという間にほんわか暖かくなって、
…ああ、こうやって気を緩ませてしまうと、プロ意識低いって思われちゃうかな?
なんて、…そんな心配をしつつも、心の中で「昴くんとは恋人役だからいいんだもん。」とこっそり言い訳をした。
「ねえ、なんで下の名前で呼んでるの?」
「え…」
刺々しい声は主に私に向けられて、相変わらずの当たりの強さに圧倒されてしまう。
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