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隣のパイプ椅子に腰掛けながら私の顔を覗き込んでニヤリと笑った彼に、みんなの前で何言ってるの?!と驚いて目を開くと、
「ほら、…キスシーン。これから多くなるでしょ?」
「あ、…あ、そ、そうですね…?」
絶対確信犯な意地悪な瞳に見つめられて、駄々洩れるフェロモンにかああ、と頬を染めて目を逸らす。
…ううう、く、悔しい…。昴くん、絶対心の中で私の反応見て笑ってる。
恐らく彼の思惑通り赤くなってしまったことが恥ずかしくて背中を丸めると、私たちのやりとりを近くで見ていた羽瀬さんがわざとらしく昴くんを睨んで口を開いた。
「もー!久城くん、美波ちゃんのことあんまり虐めないでよー?美波ちゃんはピュアっ子なんだからね?」
「ふ、羽瀬さん美波の保護者みたい。ダメですよ?みーの保護者は俺なんですから。」
「えー、そんなこと言っていいの?ひとり迷子になってた美波ちゃん匿ってあげてたのにー」
「それはお世話かけました。美波、ごめんね一人にして。寂しかった?」
これまた私の顔を覗き込んで微笑む昴くんに「寂しかったよ、昴くんの馬鹿。」と拗ねた気持ちが顔を出したけど…
「お二人とも、…子ども扱いしないでください!」
「あら、おませねー?」
羽瀬さんも如月さんもいる前で素直に拗ねるなんて出来るわけもなく、いじられキャラをしっかりと真っ当することにした。
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