Seen2 妖艶なキスシーン

4/31
前へ
/548ページ
次へ
「な、なんですか…!」 突然眼前に美しすぎる顔面が近づいて、思わず顔を赤くしながら後ずさる。 お仕事以外でこんなに近くに男の人の顔が来ることなんて初めてで、アワアワと困惑する私に反して、珍しいものでも見るみたいに瞳を覗き込んでくる久城さんは、 「演技じゃないんだもんねぇ、これ。」 「…え…っ?」 「素の状態でこんなに目、キラキラしてる人って芸能界でもあんまりいないよ?」 「…っ、あ、あの…」 久城さんが見ているのは、私の瞳。 でも、私の方から見れば、超絶至近距離で国宝級イケメンに見つめられている…という状況で…。 「か、顔…近いです!」と久城さんの肩を押せば、「ああ、ごめんごめん。」と、軽く返事をされてパッと体が離れた。 ブワっと熱い顔はきっと真っ赤。 熱を冷まそうと手のひらで両頬を覆う私に、久城さんはフッと小さく笑みを見せて、 「その綺麗な目も、素直な反応も…芸能人としての武器でしかないんだけどね…」 「…、」 「残念ながら、…愛菜を演じる上では欠点だ。」 ようやく本題に話を戻す。 「…愛菜の目の演技をするためには、ADDICTの時の目で臨めばいい…ということでしょうか。」 「ん、そういうことだね。あの時と同じくらい瞳の力を抑えてやってみて?付け焼き刃でしかないんだけど、…今日撮影する場面だけなら、それで十分乗り切れると思うから。」 「…すごい、…そんなやり方が…!」
/548ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1145人が本棚に入れています
本棚に追加