Seen2 妖艶なキスシーン

10/31
前へ
/548ページ
次へ
だ、大好き、…って… 冗談で言ったのは分かっている。 からかいの意味を込めての言葉だって、そんなの重々承知なのだけれど… 「…だだ、だ、だ、…“大好き”とか、…異性に簡単に…言わないでください…っ、」 「…え?」 「か、…勘違い、…されますよ?私、免疫ないので…は、恥ずかしくなっちゃいます」 「…」 顔を逸らさずにいられなかった。 ドキュドキュと、心臓が未知の音を立て始めるのは…今までこんな格好いい人に“大好き”なんて面と向かって言われたことがないから。 クラクラするほど熱くなった顔を冷やしたくても、頬に当てた手のひらさえも熱くって…仕方なしに膝下を顔に当てて熱を冷まそうとしていると、 「…俺の手、貸してあげよっか?」 「へ?」 横から伸びてきた大きな手のひらが、…私の頬を包んだ。 「く、久城さん…っ!」 「ふふ、こうやって触られるのも初めてなの?」 「はい!」 「“はい!”って、あははっ、」 「…っ、」 弾む心臓の勢いのまま返事をしたら、また笑われる。 余裕ゼロで、出来れば頬に触れている手を退けて欲しいのに、テレビで見たことのない満面の笑みを浮かべる久城さんをもう少し見ていたいとも思う。 「ね、どんどん顔熱くなるんだけど?」 「…く、久城さんのせい…です。」 「んー、それ、元を辿れば美波ちゃんが可愛い反応するせいかもねぇ」 「からかわないでください…、…っわ!」 怒った顔で久城さんを見上げれば、クスッと笑って私が座る椅子ごとギギギ…と音を立てて引き寄せられた。
/548ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1146人が本棚に入れています
本棚に追加