Seen2 妖艶なキスシーン

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久城さんと話していると、勝手に勘違いして、勝手に恥ずかしいことして、もう本当に情けないことばっか……っ! 「…」 「す、すみません、久城さん…、今の忘れてください…っ、」 久城さんに背を向けて、耳まで真っ赤にしながら両手で顔を覆っていると、 「ギャップ萌えっつーのは、こういうのを言うんだね。」 「…っ、」 そう言って、久城さんは後ろから私の首に腕を回した。 背中に近づいた体温に、少し俯けば目に映る筋張った腕に。 バックンバックン心臓を鳴らせば久城さんに聞こえてしまいそうで…。 「ふふ、心臓の音すごいんだけど。」 ほらぁぁぁぁ、聞こえてたぁ…っ! 「く、久城さん、…私本当にこういうのに免疫ないんです、だから…」 「うん、だから…免疫つけてもらわなきゃ…困るでしょ?演技上。」 「…っ、」 そ、それはごもっともなんだけど…、 そんな風にいきなり抱きしめられたりされると、…心臓が持ちません…! 「さっきは余裕そうに俺のこと見てたくせに、…そうやってドギマギするのも演技?」 「ち、違います!…さっきは愛菜にならなきゃ…と思って…、」 「ふーん、じゃあ今は美波ちゃんなんだ?」 「そ、そうですよ!恋愛初心者、美波ちゃんですよ!だからやめてください…っ!爆発しそうです!」 脳内大パニックで慌ただしく声を上げても、久城さんはびくともせず、「あはは、おもしろ」と笑うだけ。
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