Seen2 妖艶なキスシーン

17/31
前へ
/548ページ
次へ
「ねえ、さっき…愛菜じゃなくて美波ちゃんにドキッとして欲しかったの?」 「…え?!いや、あの…」 「演技指導中だっていうのに…俺のこと誘惑しようとしたのかな?それって、不真面目じゃない?」 「…く、久城さんんん〜」 困惑する私を面白がって、わざと意地悪を言いながら抱きしめる腕の力を強めていく久城さん。 許しを乞うように名前を呼んで振り返り、「ごめんなさい…、」と謝ると、目の前の綺麗な顔はニンマリと不気味な笑みを作る。 「…認めるの?」 「え、いや…そういうわけじゃ…て、ていうか、ち、近いですぅ…!」 「だからチューするときはもっと近いって。」 「…っ、くじょ〜さん〜!」 頬に触れた彼の手に引き寄せられて、逃げることができない。 また演技指導?…からかわれてる?それとも、本気で…、?! 「…気を遣って指で勘弁してあげたのに。」 「…っ、」 「不真面目な美波ちゃんに、追加指導。」 「…あの、…」 「黙って目、閉じな?」 ペロリと舌なめずりをした久城さんからは…先程の拓人なんかとは比べものにならないほどの色気が放たれていて。 目を閉じた。強く瞑りすぎず、唇は柔らかく。 指導されたことを実践すると、頬に触れていた久城さんの手が僅かに振れた。 「そこで、…目、閉じるかな普通…」 ボソリと聞こえた声と共にゆっくり近づく気配。 演技ではどうしようもない心音に、…気をつけていたのに思わずギュッと目を閉じてしまった、 …その時。
/548ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1146人が本棚に入れています
本棚に追加