Seen2 妖艶なキスシーン

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問いかけに言葉を濁すと、呆れたようなため息とともに降ってくるのは厳しい言葉。 「台本を理解してないのに本番に挑もうなんて、甘いね。」 「…はい、すみません…。」 「分からないことは、そのままにしないで。自分で考えて…それでも分からなければ監督に聞けばいい。愛菜の気持ちも理解しないで、彼女になり切ろうなんて…無理に決まってるからね?」 「…はい!」 淡々と紡がれる注意の言葉に、落ち込んでいる暇なんかない。 やる気と決意を示すように強く頷いた。 聞きたくても、「こんなことも分からないのか」って思われるのではないかと、忙しいのに迷惑をかけるんじゃないかと…遠慮していた自分を久城さんは見透かしている。 その遠慮を取っ払おうと、久城さんはあえて厳しい言葉を口にしている。 全ては私のため、作品のためだって理解できるから… だから、この間の顔合わせ会の時とは違う。全然怖くなんかない。…彼からの叱咤が…私は嬉しくて仕方なかった。 上から私を見下ろす久城さんは真顔だった表情をフッと緩め、 「監督に聞きづらかったら俺に聞いてもいい。 …大丈夫、美波ちゃんなら出来るから頑張りな?」 と頭を撫でてくれる。 その飴と鞭に、心の中がホワッと暖かくなる感覚。これがなんなのか、私にはまだ分からなかった。
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