Seen2 妖艶なキスシーン

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へ、…へ?ば、…馬鹿…? さっきまで「精々頑張りな?」って応援してくれたし…てっきり協力してくれるかと思ったのに…。 愛菜の心の変化を演じるには、やっぱり恋愛について勉強する必要があるし、人を好きになるってどういう感じなのかを理解しなきゃ…って、 思っていなかった反応にキョトンと首を捻った私は、そこでようやく自分の言葉を振り返る。 『私に恋愛を教えてください!』 …っ、うわわわあわあわああわ!! 違う!これじゃあ私が久城さん口説いたみたくなってない…?!! 一拍の間の後、自分がとんでもないことを叫んでしまったことにようやく気が付いた。 「く、くくく、くじょさん!ごめんなさい…っ、変な意味じゃなくて…っ!」 「うん、変な意味じゃなくて…?」 どうにかフォローしようと慌ただしく駆け寄って口を開く私に反して、こんな時でも余裕たっぷりな久城さんは、やや呆れた表情を携えて斜めに首を傾けた。 久城さんがいなければ、この先私が愛菜を習得する術なんかないというのに、ここで見放されてしまうわけにはいかない。 どう言えば自分の意図が伝わるのかと目を宙に彷徨わせながらも、見切り発車した言葉は、まんまとしどろもどろなもので… 「えっと、ま、まず、…久城さんを口説いてるとか、そういうわけでは決してなくですね、…その、なので、ふ、不真面目だ…!って怒らないでくださいね?」 「まあ、あんな迫力で言われて口説かれてるとは思ってないんけどね。“恋愛教えて”って、何それ?」 「いや、つまり…、愛菜のコイゴコロを演じるために、恋愛を教えて欲しいということでして…あの、その、なので、全然変な意味じゃ…」 「それって十分変だと思うんだけど。」 「へぇぇえ?!…へ、変でしょうか?!」 「…」
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