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「…言っとくけど、俺演技に関してはスパルタだから。…そこんとこよろしくね?」
「はいっ!…ありがとうございます…っ、師匠…っ!!」
「…おわっ、」
喜びのあまり久城さんの手を両手で握ってブンブンとふり始めた私。
「…ああ、そんな簡単に男の手握るなんて。先が思いやられるねぇ」
喜びの絶頂にいる私の耳に、ボソリと小さく呟かれた久城さんの言葉が入ってくるわけもなく…。
「へ?何か言いました?」とニコニコ笑顔で尋ねると、「んーん。何も?」と鉄壁の笑顔が返ってきた。
「じゃ、早速この後、俺の家で初めてのレッスンでもしましょうか?」
私の顔を覗き込んで早速そんな提案をしてくれた久城さんに「え?!」と声を上げると、悪戯に笑みを深めてさらに距離を詰められる。
「何する?…キスの練習でもしてみる?今度はちゃんと唇で。」
低く響く妖艶な声色に鼓膜が揺れた直後、
「はい!お願いします。」
なんて、笑顔で声をあげれば久城さんの瞳がまんまるに広がった。
「………、
うーん、そこで“お願いします”なのがおバカだよねぇ」
「へ?」
「ううん、こっちの話。」
クスクス笑う久城さんは何故笑っているのか分からなかったけれど…、
これから始まる久城さんとの恋愛の“お勉強”に、私の胸は確かにトクトクと高鳴っていた。
妖艶なキスシーン
ーendー
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