Seen3 初めてのレッスン

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「俺の部屋見回したってなんも面白くないでしょ?」 「いえ!お金持ち、って感じです!おしゃれだし、なんかいい匂いするし!」 「匂いとか言われるとなんか恥ずかしいんだけど。まあ、うちはよく友達遊びに来るし、気遣わないでくつろいでいいからね。」 そう言いながら、飲み物を持ってきてくれた久城さんは私の隣に腰を下ろす。 撮影後、一度家に帰ってから久城さんの家にやってきた私は私服だけど、久城さんは自分の家だから当然部屋着に着替えていて。 顔合わせ会の時の服や拓人の衣装とは違うゆるっとしたスウェット姿。 シャワーを浴びたのか、髪の毛もセットされていなくって…普段とはまた違う久城さんにドキドキと胸が弾む。 「ん…?美波ちゃん、汗かいてる。」 「…っ、」 突然伸びてきた手。 私の首元に浮かんだ汗の粒を拭うから、思わずビクッと肩を揺らしてしまった。 私なんかのばっちぃ汗を神聖なる久城さんの手に拭われるなんて…っ 「き、汚いですよ!?」と慌てて声を上げると、 「バーカ、可愛い子の汗は汚くないんだよー」 「な、っ…」 …なんて、久城さんはさらりと笑って言うからずるい。 落ち着かない気持ちになって顔を赤らめる私に「そんなに暑い?冷房下げよっか。」と冷房のリモコンに手を伸ばす久城さんはきっと分かってる。 私のこの熱は気温だけが原因ではないってことを。
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