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「とりあえず、ご飯食べながら話そうか。あ、美波、服着替える?」
「え?」
「その服じゃくつろげないでしょ。それにせっかく可愛い服着てるのにソースとか飛んだら嫌じゃない?」
そう問われて自分の服を見ると、白いトップスに膝上丈のタイトスカート。
昴くんにちんちくりんだと思われたくなくて、普段より少し大人っぽい服を選んだんだけど、もっと楽な格好で来た方が良かったかな?なんてちょっと後悔。
でも、わざわざ服を借りるなんて申し訳ないし…。
「だ、大丈夫です!気になさらないでください!」
「そっちこそ気遣いすぎ。」
呆れたような笑みを浮かべながら、私の隣に腰を沈めた昴くんはまた私の頭を撫でて、
「俺は美波の恋人役なの。彼女には優しくしたくなるもんなんだよ?」
なんて、甘く微笑む。
恋人“役”。
昴くんは恋愛未経験の私が恋人という関係に慣れることが出来るよう、こうやって優しくしてくれているだけなのに、本気でドキドキする私はどうかしてる。
「ついでに、彼女は彼氏の優しさに甘えるもんなんですよ?」
「…っ、そ、そうなんですか。」
さらりと髪を持ち上げながら顔を近づけられて、ドギマギと目を泳がせる私。
男性との至近距離に戸惑いまくっていることがバレバレのその仕草に、昴くんはクスクス音を立てて笑って。
「うん、そうなんですよ?
スウェットでいいよね?持ってくるからちょっと待っててね。」
「…ありがとう、ございます…」
立ち上がって隣の部屋へと消えていった昴くんの背中を見ながら、彼のいた半身の熱を必死に冷ました。
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