Seen3 初めてのレッスン

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「ああ、もうホント面白い美波ちゃん。」 「も、もう…いい加減笑い終わってください…!」 「無理、みーちゃんと一緒居んのやっぱ楽しいわ。」 「…っ、こ、こら!また!そうやって!」 昴くんが用意してくれた料理にようやくありついても、相変わらず私を揶揄ってくる昴くん。 振り返って頬を膨らませたが、思っていたよりも顔が近くてすぐに顔を前に戻した。 ソファーの下に降りて、ローテーブルを前に床に座る私たち。 右手にはフォーク。左手はしがみつくみたいにテーブルの縁を掴んで…、私の世界の中では大分異常な状況に…ドキドキが鳴り止まない。 「あ、あの…この体勢…、どうにかなりませんか?」 「ん?…この体勢?」 「…い、一旦離れましょう?緊張で…どうにかなりそうです。」 当たり前のように後ろから私を抱きしめたまま食事を始めようとする昴くんにモジモジしながらやっとの思いで告げたのに。 「やーだ。」 「…っ?!」 間延びした可愛い一言で一蹴。 ビクッと肩を揺らしてあからさまに困惑すると、クスクス笑いながら「ペットみたい」と頭を撫でられる。 「や、やだじゃありません!」 「じゃ、これもレッスンってことで。」 「…っ?!“レッスンってことで”って何ですか?!“ことで”って!」 「はいはい、失言失言。 美波は知らないかもだけど、恋人はみんなこうやってご飯食べるんだよ?こういうのも体験してた方がいいでしょ?」 「えっ…そ、そうなんですか?」
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