Seen3 初めてのレッスン

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「はい!」といいお返事をして、パッと声の方に顔を向けると、 「はい、こっからが本番。」 「…っ、」 「おいで、こっち。」 「………は、はいっ、」 あぐらをかいて、腕を広げる昴くんが私を待つ。 こっからが本番、っていうのは、“恋愛”についてのレッスンだって分かるから…。 恥ずかしいけど、素直に彼の広い胸の中におずおずと身を寄せる。 「よしよし、お利口さん」と私を抱き寄せて背中を撫でる昴くん。 「…っ、は、恥ずかしいです…」 かああっと、赤くなる顔を昴くんの胸に擦り付けて、こういう時に手はどこに置けばいいのか分からないから、ドキドキに堪えるように彼の服にしがみつく。 「その恥ずかしさがなくなるまで引っ付いてよう?このくらいでドキドキしてたら演技にならないよ?」 「無理です、昴くんいい匂いするから多分一生ドキドキしちゃう…」 「……。へぇ、一生…かぁ。 ……じゃ、一生ドキドキさせちゃおっかなー?」 「………え?」 私を抱きしめる手が緩んで、昴くんは腰を曲げて私の顔を覗き込む。 仰反る私の腰と後頭部を押さえて、 「…じっとして?」なんて、妖艶に笑う彼は… 「今から美波の本当のファーストキス貰うんだから。」 「…、」 そう呟いて、ゆっくりと顔を近づけた。
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