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…でも、だって…、このままキスするなんて…、やっぱり私には出来ないよ…。
「今日はやめとこうか?」
「…っ、」
昴くんが私から離れようと後退した瞬間、咄嗟に彼の胸元にしがみついた。
「……歯磨きっ!」
「………は?」
「歯磨きしてからキスしたいだけなんですぅ…っ!」
「…………。」
言っちゃった、言っちゃった…、、、
だって、出してもらった料理、結構ニンニク効いてたし…ファーストキスがニンニクの味って嫌だもん〜〜〜!!!
「…っぶ、…はは、そういうこと?」
「…うう、笑わないで。自分でも馬鹿みたいって思ってますよぉ…」
吹き出した口元を手の甲で押さえて笑う昴くんを、不貞腐れながらじとりと睨むと、そんなのお構いなしでぎゅううっと体を抱きすくめられた。
さっきも抱きしめられたのに、全然慣れない私の体は相変わらずバックンバックン、順調に寿命を縮めてる。
「ふふ、ううん。俺こそ気が回らなくてごめんね?じゃ、歯ブラシ出してあげるから洗面所行こ?」
「…ありがとう、ございます…。」
「みーちゃんのファーストキスはミント味かぁ。」
「や、やだ、その言い方…!私のこと馬鹿にした!」
「してないよ?…もう、100%愛でる気持ちしかない。」
私の手を繋いで洗面所に連行しながらこちらに振り向いた昴くんの顔は、確かに私を揶揄うときの意地悪な顔ではなくて、
優しい、温かい表情だったから…それ以上文句は言えず、大人しく昴くんの背中について行った。
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