Seen3 初めてのレッスン

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シャコシャコシャコシャコ… 「…うう、やだ、なんで見てくるんですかぁ…」 私のために新しい歯ブラシを出してくれた昴くん。 二人並んで洗面台の前で歯磨きをしている間、ジーッと直接私に視線を向けている昴くんを鏡越しに確認して眉を下げる。 歯磨きしてるところをガン見されるなんてあまりない経験だから、なんだか恥ずかしい…。 「んー?」と間延びした返事をする昴くんの顔をチラッと直接見上げるとばっちり目が合ってしまって…。 「…この子、俺とキスするために歯磨いてんだなと思ったら可愛くて?」 「…んなっ、」 シャコシャコ左手で歯ブラシを動かしながら右手で私の頭を撫でる。 プライベート感の強い彼の気の抜けた笑顔にキューっと心臓が疼いて、なんでか泣きそうになってしまう…。 「な、なんでそんな恥ずかしいこと言うんですか…」 「ん?間違いだった…?」 「あ、合ってます…けど!」 「…合ってんのね。本当美波ちゃんって可愛い。」 「…ま、また、そうやって…すぐ可愛いとか言う…」 真っ赤になった顔をふいっと逸らした先。 先ほど着替えのためにこの洗面所を訪れた際に気になった化粧品が目に入って…。 「そうやってすぐに“可愛い”とか言うから…沢山の女の人が昴くんのこと好きになっちゃうんでしょうね。」 「え?」
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