Seen3 初めてのレッスン

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な、な…何してんの?この人…。 「な、なんで…捨てるんですか?」 「え、なんでって、美波がこれあるとモヤモヤするっていうから。」 「へぇぇえ?!」 私が困惑している間に次の化粧品に手を伸ばす昴くんの腕を両手で掴んで止めると、キョトンとした顔で首を捻る昴くん。 んーん!その顔は私がしたい顔だよ?!昴くん! 「だ、だめだよ…!勝手に捨てたら…!まだ沢山残ったやつばっかなのに…」 「え、美波使う?」 「はい?…つ、使わないけど…っ!」 「えー、じゃあもう要らない。」 口角を上げて笑って、またゴミ袋に化粧品を投げ込んだ昴くんにもう成す術なく固まってしまう。 「だ、大丈夫なの…?昴くん、」 「うん、もう誰も来ないから。」 「…え?」 「今までは誰にどう思われようが良かったんだけど…、美波にマイナスイメージ持たれるのは…なんか嫌だなと思って。」 そこに合った化粧品を全てゴミ箱に入れ終わった昴くんは私の顔を覗き込んで、頬を柔く引っ張る。 「美波の歯ブラシは次来たとき用に置いとこうね?」 「…い、いいんですか?」 「んー、俺ね。今あるもの全部いらないな、って思えるくらい、目の前の子にハマりそうな予感してるんだよね。」 「…っ、」 「だから、次は服捨てにいこっか?今後美波には俺の服着させるから他のは全部捨てちゃう。」 そう言って、おでこにチュッと触れた温く柔らかい感触。
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