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全身を駆け巡る電気みたいなピリリとした感覚。
そのあとはドックンドックンと全身が心臓そのものになったみたいに鼓動がうるさく響き渡って。
洗面所を後にして、リビングの横の部屋に連れて行かれると、昴くんは鼻歌まじりに女性用の服をゴミ袋に入れていく。
そんなに女の人用のがあるの?って若干引いたりもしたけれど…
躊躇なくバンバンとゴミ袋に詰め込んでいく昴くんを見ていたら、すぐにそんなのどうでも良くなった。
作業が終わり、鼻歌まじりにゴミ袋を拾い上げた昴くん。
「ご機嫌ですね?」って尋ねたら、「みーちゃんがヤキモチ妬いてる姿が可愛くて。」なんて、にっこり笑顔が返ってくる。
「…へ、や、ヤキモチ?」
「ん…違うの?」
「…」
ヤキモチ、って言葉の意味は知っている。
でも、そんなのは私の人生には縁のないものだと思っていて…。
だって、ドラマや漫画でよく出てくるヤキモチって、好きな人が他の人と仲良くしてるのとか見て、嫌な気持ちになる…とかいうあれでしょ…?
私、今までそんな経験ないし、…って、
でも、さっき、昴くんが他の女の人と電話してる時もすごくモヤモヤしたし、この部屋にある女の人の痕跡がすごく気になって…、
「…そっか、ヤキモチって…こういうのを言うんですね…。」
「え?自覚なしだったの…?」
「…はい!私、初めてヤキモチ妬いちゃいました!」
「…」
「早速ひとつ昴くんから学ばせてもらっちゃった!ありがとうございます!」
にこーって笑ってお礼を言うと、少し呆れたように笑って、それから昴くんもニコッて優しく笑った。
「そりゃよかった。俺も美波の初めて貰えちゃった?」
「はい!昴くんでよかったです!」
「………
えー、何、俺のこと殺しに来てんの、可愛い〜」
「…へ?」
キッチンの大きなゴミ箱の横にゴミ袋を置いた昴くんは私を後ろから抱きしめながらソファーへと移動する。
こういうスキンシップはやっぱり落ち着かないけど、ホワッと優しい気持ちになれるから…私、案外嫌いじゃないのかも。
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