Seen3 初めてのレッスン

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撮影ですでにキスしてるのに…なんなら歯もぶつけてるのに。 二人きりの部屋。無音の空間。 自意識過剰かもだけど、今日一日で随分と知った昴くんの優しさに…、 昼間のキスとは全然違う。 ドキドキが止まらなくて、苦しいくらいに喉から胸にかけてぎゅうぎゅうと締め付けられて…。 これが恋人同士のキスなのか…って、冷静に分析して理性を保たないと、溶けてしまいそう。 触感を楽しむように角度を変えて擦り合わせられる唇にゾワゾワと腰元が震える。 「みー、口の力抜いて?」 「へ…っ、はい…ぁ、」 「ん、お利口」 「…っ、んぅ、」 力の抜けた唇の間から滑り込んできた舌。 初めての感覚に驚きすぎて身を仰け反らしたが、背中と後頭部を拘束する昴くんの手が離れることを許さない。 長い舌が口内を張り巡り、私の舌に絡みつく。 「ん、っ、ふぁ、…っ、ぁ」 「ね、可愛い声出さないで?もっと教えたくなる。」 「…っ、だって、…ふぁ、」 私の息ごと飲み込むような容赦ない口づけに、息苦しくて口で息を吸おうとすれば恥ずかしい声が出てしまう。 息苦しさから思わず涙目になる私に気がついた昴くんは「ごめん、がっつきすぎたかも」って苦笑いをしながら一度唇を離してくれて… そんな彼を、 「もう、私初めてなのに…、こんなの苦しいです…」 眉を下げながら見上げれば、背中に回った手に僅かに力が入った。 「…なんつー、可愛いこと言うのかな…この子は…」 「…っ、や、…昴くん!」 困ったように眉間にシワを寄せた昴くんに鼻を摘まれる。
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