Seen3 初めてのレッスン

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さらに爆笑し始める昴くんが不服で、む、と口を尖らせていると… 「このままの美波をずっと見てたい気もするけどなぁ。」 「…え?」 「こんなに可愛いのに、こんなにウブで純粋な子、存在するんだね。」 「…」 体を起こして、ソファーの背もたれに体を倒した彼は、太ももの上に乗る私の頬を片手で撫でながら、しみじみとそんなことを言う。 それはからかっているとかそんな感じではなくて…。 目の前から向けられたのは優しくて…暖かい視線だったから…。 「でも、このままじゃ…ダメなんです。」 「…」 「愛菜にはなれないの。」 私も取り繕わず、素直な気持ちを吐き出せる。 こんなこと言ったら、呆れられるかも…とか、迷惑がられるかも…とか。 そんなことを考えずに自然と昴くんを頼ってしまうのは…たぶん彼の優しい空気感が原因なんだと思うんだ。 「だから…昴くんがいっぱい教えて?」 「…」 「私を純粋じゃない女に…してください。」 「……、」 昴くんの胸元に両手を置いて、唇をかみながら懇願すると、「すっごい悩殺台詞だね。それ。」と眉を下げながら私の髪を撫でる昴くん。 「了解。責任持って、美波を成長させてあげる。」 「…本当?迷惑じゃない?」 「…ふふ、押し強いのか弱いのか分かんないよね、美波って。 迷惑っていうか…俺を選んでくれて良かったなって心底安心してる。他のよく分かんないやつに頼まなくて本当よかった。」
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