Seen3 初めてのレッスン

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冗談っぽく笑っていう昴くんだけど、私…昴くんじゃなきゃ、頼まなかったよ。 圧倒的な演技力。優しく包み込むような包容力に指導力。 私、今日昴くんと同じ現場に立って…その数時間だけで、女優という世界の入り口を見つけさせてもらったんだ。 恋愛も一緒。昴くんのおかげで入り口に立てた気がする。 「私…頑張ります。…なんでもやる。昴くんに迷惑かけないように…恋愛についても、愛菜のことも…沢山勉強する。」 こんなこと言ったって、昴くんは興味ないかもしれないけど、改めてちゃんと宣言しておきたかった。 私は努力は得意だから。昴くんに言われたことを信じて、どんなことでも頑張るから…だから、どうか見捨てず、色んなことを教えてね? 固い意志を示す私の表情を見て、フッと笑った昴くんは、 「…きゃ、」 「鼻で息もできないような人にそんなこと言われてもなぁ〜。信用ならないよ。」 「…え?!…そ、それはごめんなさいですけど!」 私の腕を引き、細いのに意外と筋肉質な胸にダイブさせる。 「だから沢山練習しよ?」 「…っ、は、はい…」 「俺以外と練習したら、即破門だからね?」 「は、破門…、わ、分かりました!」 「はい、お利口さん。」 ベットでも甘やかすみたいに、頭を撫でられるのはもう何度目か分からない。 この撮影期間中で…私もしかしたらハゲちゃうかもしれないな…なんて考えつつ…。 耳をつけた彼の胸から聞こえてきた鼓動が案外早かったことに驚いた…、そんな初めてのレッスンの夜だった。 初めてのレッスン ーendー
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