Seen4 危険な鑑賞会

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『じゃ、俺…行くから。』 『…っ、ちょっと待ちなさいよ!』 『おい、…何すんだよ…』 立ち去ろうとする拓人に突然抱きつく愛菜。 体制を崩しながら愛菜を睨む拓人をムッとした顔で睨み返す。 『ストーカーに襲われかけて怖い目にあったか弱い女を一人にする気?』 『はぁ?』 『それでも男なの?黙って今晩あんたの家に泊めなさいよ。じゃなきゃ、私あのストーカー男に殺されちゃうかも。』 『…』 『後味悪いよぉ〜?あんたが私を一人にしたせいで、ストーカー男にレイプされた挙句、こんな可愛い女の子が殺されんの。』 『………、本当、面倒クセェ…』 『ふふ、うちあいつに場所バレてるからしばらく帰れないの。ネカフェも飽きたし、たまにはベッドで寝かせてよ。』 悪戯に笑って彼の手を引く。 そんな愛菜に、拓人もこっそりと微笑んだ。 「はい、カット…! オッケー。今日の撮影終了でーす。」 監督の通る声が道端に響くと同時、スタッフさんたちの「お疲れ様です」という声がパラパラと飛んでくる。 「ありがとうございました!お疲れ様です!」 「お疲れ様でーす」 今日は路上でのロケ撮影。 挨拶をしてカメラ前から捌けた私と昴くんは撮影スタジオに戻るロケ車をスタッフさんが近くに移動させてくれる間、休憩スペースで待つことになった。
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